• 全般

コラムタイトル

実家暮らしの人が家に入れるお金はいくら?生活費の平均や内訳とともに解説

リード

社会人になってからも実家暮らしを続けている場合、生活費の一部を親に渡している人が多いようです。そこで気になるのが、実家に入れるお金の目安でしょう。

「親に渡すお金の平均はいくら?」「実家にお金を入れていない人はどれくら いいる?」といった疑問を持ったこともあるはずです。

この記事では、ファイナンシャルプランナー豊田眞弓さん監修のもと、親に渡すお金の平均を含めた、実家暮らしの人の生活費の目安について紹介します。

    • 全般
コラムサマリ

INDEX

■実家暮らしの人が家に入れるお金の平均は約3万7,000円

・実家にお金を入れている人の割合は?

■実家暮らしの生活費の平均は約8万円

■実家暮らしの人が家に入れるお金の目安は、手取りの2割

・実家暮らしの人が家に入れるお金の決め方

・実家暮らしの人が覚えておきたいポイント

■実家暮らしの人が貯金・投資する方法

①毎月の支出計画を立てる

②貯金用口座を分ける

③財形貯蓄・定期預金を利用する

④つみたてNISAを活用する

⑤そのほかの積立サービスを活用する

■実家暮らし中は将来のための準備をしよう

本文

実家暮らしの人が家に入れるお金の平均は約3万7,000円

実家暮らしをしている人にとって、まず気になるのは家に入れるお金の平均でしょう。少し古いデータになりますが、2015年に実施された「SUUMO 実家暮 らし調査」1)によれば、実家に入れているお金の平均月額は、全体で3万7,417円でした。

男女別に見ると、男性の平均月額は3万8,774円、女性は3万6,059円となっています。男女で給与の差があることを考えると、負担の割合は女性のほうが多いと考えることもできるでしょう。特に、25~29歳の人では、女性のほうが家に入れる金額が多いという結果も出ています。

〈表〉実家に入れている平均月額(男性)

20~24歳25~29歳30~34歳35~39歳全体
3万1,786円        3万6,212円          3万9,792円         4万7,308円          3万8,774円           

〈表〉実家に入れている平均月額(女性)

20~24歳25~29歳30~34歳35~39歳全体
2万4,706円            3万8,911円         3万7,364円        4万3,255円         3万6,059円          

実家にお金を入れている人の割合は?

とはいえ、実家暮らしをしているすべての人が、家にお金を入れているわけではありません。以下の表にもあるように、「毎月、決まった金額を家に入れて いる」、または「毎月入れているが、金額は月によって異なる」と答えた人は、全体の約7割でした。つまり、約3割の人は、毎月実家にお金を入れていないことになります。

〈表〉実家にお金を入れている人の割合(男性)

 20~24歳25~29歳30~34歳35~39歳全体
毎月、決まった金額を家に入れている48.3%  73.2%  70.6%  59.1%  64.5%  
毎月入れているが、金額は月によって異なる6.9%0.0%2.9%7.6%4.0%
頻度も金額も決まっていないが、時々家 にお金を入れている3.4%4.2%0.0%6.1%4.0%
家にお金は入れていない    41.1%22.5%26.5%27.3%27.5%

〈表〉実家にお金を入れている人の割合(女性)

 20~24歳25~29歳30~34歳35~39歳全体
毎月、決まった金額を家に入れている65.4%  60.8%  59.5%  74.6%  65.5%  
毎月入れているが、金額は月によって異なる7.7%2.7%2.7%3.2%3.5%
頻度も金額も決まっていないが、時々家にお 金を入れている0.0%5.4%0.0%4.8%3.5%
家にお金は入れていない    26.9%31.1%37.8%17.5%27.5%

「毎月、決まった金額を家に入れている」と答えた人の割合を年齢別に見ると、男性の場合は20代後半から30代前半が最も高く、30代後半になると10%以上も減っています。一方、女性の場合は20代後半から30代前半に比べ、30代後半に「毎月、決まった金額を家に入れている」と答えた人の割合が10%以上増えて いることがわかります。

参考資料

1)SUUMOジャーナル「実家暮らし派に聞いた! ズバリ、家にいくらお金を入れている?」

実家暮らしの生活費の平均は約8万円

では、実家暮らしを続けている人の生活費の平均は、どれくらいになるでしょうか。実家暮らしの単身者だけを対象にした調査は行われていないため、ここでは総務省の「家計調査年報(家計収支編)2021年」2)で行われた、一人暮らしの勤労者世帯(20歳~34歳)を対象とした調査結果をもとに考えてみます。

家計調査年報によれば、20歳~34歳の一人暮らし(世帯人員1人)の生活費の平均は15万5,991円となっています。内訳は以下のとおりです。なおここでは、消費支出の合計を生活費としています。

〈表〉一人暮らしの生活費の平均と内訳(20歳~34歳/勤労者世帯)

※四捨五入の関係で合計が合わないことがあります。
食料3万5,801円
住居3万4,913円                      
水道・光熱7,655円
家具・家事用品7,050円
被服及び履物6,604円
保健医療4,718円
交通・通信2万68円
教育11円
教養娯楽1万8,697円
   その他の消費支出   2万476円
合計15万5,991円

ただし、この平均は一人暮らしの場合です。ここから、住居費(3万4,913円)、 食費(3万5,801円)、水道・光熱費(7,655円)の費用を引いた金額を、実家暮らしの生活費の目安と考え、以下の計算をしてみましょう。

(一人暮らしの生活費)15万5,991円 -(住居費)3万4,913円                           

-(食費)3万5,801円

-(水道・光熱費)7,655円

≒(実家暮らしの生活費)7万7,622円

つまり、実家暮らしの生活費の平均は、約8万円と推測することができます。 なお、「家計調査年報」の調査対象には、持ち家がある世帯が含まれているほか、住宅ローンを消費支出に含めていないといった理由から「住居」の金額が低めになっている点にご注意ください。

参考資料

2)総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年」

実家暮らしの人が家に入れるお金の目安は、手取りの2割

給与やそれぞれの家庭の状況により、実家暮らしをしている理由は異なります が、1つの目安として手取りの2割は家に入れられるといいでしょう。

その理由としては、4つ挙げられます。

1つ目は前述のSUUMO のデータで紹介した、実家に入れているお金の平均月額が3万7,417円であることです。収入によって異なるものの、この平均額は手取り月収15万~25万円くらいであれば15~20%程度に該当します。

2つ目は、前述の家計調査から考えて、住居費や食費、水道・光熱費などの実 家暮らしで浮く生活費が7万8,369円あることが挙げられます。仮にこの浮いた金額の中から、手取りの2割を家に入れても、貯金をするゆとりがあると考えられます。

実家暮らしで浮く生活費

3万4,913円(住居費)+3万5,801円(食費)+7,655円(水道・光熱費)=7万8,369円                     

また、3つ目として子どもが思っている以上に親の負担は大きいということもあります。前述のように、実家暮らしの場合には住居費や食費、水道・光熱費などを自分が負担する生活費から引いて考えることができる一方、その分のお金を親が負担している場合がほとんどでしょう。実家暮らしをしていて家にお金を入れていない場合には、親がどれだけ自分にかかるお金を負担してくれているか、一度確認してみるといいでしょう。

さらにもう1つ。家にお金を入れないか、入れても非常に低額にすると、自由になるお金が多くなり、お金を使いすぎる癖がついてしまう可能性があることが挙げられます。自由になるお金を貯金や投資にまわす習慣をつけずに、使ってしまうようだと、自立が遠のくばかりか、家庭を持った時に苦労することにもなります。

実家暮らしの人が家に入れるお金の決め方

手取りの2割というのは、あくまでも1つの目安にすぎません。実際に家に入れるお金を決める際には、以下のことを考えて設定しましょう。

(1)自分が実家にいることで、いくら金銭的負担があるか親に聞いてみる

(2)自分の毎月の生活費や貯金額を書き出し、いくらまでなら払えるか考えてみる                        

まずは、家計を管理している親に実際にいくら負担があるのか聞いてみましょ う。具体的には、住居費や食費、水道・光熱費を聞き、世帯人数で割って計算してみるといいでしょう。自分の生活費に本来どのくらいの金額がプラスされるのか理解することができます。

また、収入が少ない場合には手取りの2割が難しいこともあるでしょう。そうした場合には、自分の収入から必要な生活費や貯金額を差し引いた金額をもとに考えるのもおすすめです。

(1)と(2)の金額をもとに、親と相談しながら実家に入れるお金の設定を行いましょう。

実家暮らしの人が覚えておきたいポイント

一人暮らしの家賃などとは違い、実家暮らしの場合、家に入れるお金が払えなくても生活することはできるでしょう。しかしながら、そうした意識を持ったままでいると、自立が遠のいてしまったり、金銭感覚がズレてしまったりすることもあります。

そうならないために、実家暮らしの人が覚えておきたいポイントを4つ紹介します。

①家に入れるお金は低額にしすぎない

前述でも紹介したとおり、家に入れるお金を低額にしすぎると、自由に使えるお金が多い分、浪費癖がつく可能性があります。また、その金銭感覚のまま一人暮らしをすると、今度は自由に使えるお金の少なさにストレスを感じてしま うこともあるでしょう。実家暮らし中は“お金の勉強期間”でもあると捉え、支出過多にならないよう注意しながら、貯金や投資を意識して生活することで、自立のための準備ができるでしょう。

②親が「いらない」といったとしても、家にお金を入れる

実家暮らしをしている人の中には、親からお金はいらないといわれている人もいるでしょう。しかしながら、もしそういわれたとしても家にお金を入れることをおすすめします。親に余裕がある場合は別ですが、日本人の平均寿命が長寿化する中、老後資金不足もありうるため、親に負担をかけすぎないことは大切です。

どうしても受け取ってくれない場合は、「(結婚資金などのために)預かっておいて」といういい方で渡すのも手です。一定の固定費を支払う生活は、将来自分が自立した時や家庭を持った時のためにもなります。

③親と相談して金額を設定する

家に入れるお金を決める際には、親と相談することが不可欠です。自分の収入 や実家の家計、そして家族の状況など、考慮すべき点は多くあります。そうした様々な要素を鑑みた上で、双方が納得できる金額のラインを話し合いましょう。

④貯金・投資をする

生活費を抑えられる実家暮らしは、貯金をするのにぴったりな時期です。逆にいえば、貯金や投資をするために実家暮らしをしている人も少なくないでしょう。そのため、“今が貯め時だ”という意識を持って、多めの額で貯金・投資できるといいでしょう。おすすめの貯金・投資の方法についてはこのあと説明します。

実家暮らしの人が貯金・投資する方法

一人暮らしの場合に比べ、実家暮らしの社会人は貯金にまわすお金を捻出しやすいはずですが、なかなか貯金ができない人も多いと思います。そこで、実家暮らしの人が貯金をしたい場合に覚えておくといい心得を紹介しましょう。

①毎月の支出計画を立てる

貯金ができない人の多くは、自分の収支を把握していない傾向があります。まずは、家計簿をつけて、自分の生活に必要な支出を整理してみましょう。

電子マネーやクレジットカードを利用する機会が多い人には、キャッシュレス 決済との連携機能がある家計簿アプリがおすすめです。自動的に支出が記録されるので、何にいくら使っているのか、簡単に把握できるようになります。

つぎに支出の計画を立てましょう。たとえば、「手取りの●割」を貯金にまわすと決めた場合には、手取りから貯金を引いた残りのお金を、親に渡すお金や外食費、交際費、スマホ代、そして趣味に使うお金などに配分しましょう。配分を見ながら、実際に使っているお金と見比べ、どこを削るかなどを調整します。

②貯金用口座を分ける

毎月の支出計画を立てて、貯金にまわすお金が捻出できるようになったら、つぎに考えるべきは貯金が減らない工夫をすることです。そこでおすすめしたいのが、普段引き落としなどに使っている口座とは別に、貯金用の口座をつくることです。

その際、間違って貯金用の口座からお金を引き出したりしないように、キャッ シュカードは持ち歩かないようにしましょう。

ちなみに、金融機関を選ぶ際はネット銀行を選ぶのもおすすめです。ネット銀行は都市銀行などより金利がいい場合もあります。

③財形貯蓄・定期預金を利用する

より確実に貯金をしたい場合は、給与からの天引きで財形貯蓄をしたり、給料日の翌日に自動振替で自動積立定期を設定するなどの方法もおすすめです。

財形貯蓄とは、企業の福利厚生の1つです。給与が振り込まれる時、あらかじめ設定した金額が自動で天引きされ、貯金にまわります。そもそも、給与口座に振り込まれないので、使い過ぎてしまう人にはおすすめです。

定期預金口座もメリットがある選択肢です。定期預金は、一般的に普通預金よりも金利が高く設定されています。財形貯蓄の制度が勤務先にない人や自営業の人は、ぜひ検討してみてください。

④つみたてNISAを活用する

NISAとは、少額投資非課税制度のことで、投資をする人のための税制優遇制度です。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAで得られた利益には税金がかかりません。つまり、収益の100%が自分のものになるお得な制度なのです。

初心者には、中でもつみたてNISAがおすすめです。長期、資産の分散、時間の分散(=積立)と、リスク軽減法が三拍子そろった投資初心者向けの投資です。

今は高校で投資を学ぶ時代でもあり、つみたてNISAで投資信託をすることが一般的になりつつあります。最近では「資産取得倍増プラン」の政策が決定し、 2024年からNISA(少額投資非課税制度)が拡大されることになったため、さらに利用者が増えることも予想されます。

預貯金はインフレが進んだ際、資産価値が相対的に目減りしてしまいます。そのため、インフレに強いとされる投資を、資産の一部に組み込むことは大事です。とはいえ、元本が目減りするリスクはあるため、5年以内に使う予定がない資金の3割以下の範囲で挑戦するようにしましょう。

⑤そのほかの積立サービスを活用する

備えとしての貯金はもちろん必要ですが、やはり人生に楽しみは必要です。旅行やショッピングなどにもお金をかけたいという人は、旅行会社などが扱う旅行積立や、百貨店の積立制度を活用すると効率的に貯金ができます。

注意点として、積立サービスのなかには、会社が破綻した際に、預金と違って積立額が保証されない場合があります。そのリスクを踏まえた上で、貯金を上手に活用していきましょう。

実家暮らし中は将来のための準備をしよう

実家暮らしをしている場合、家に入れるお金はきちんと親と相談して決めることが大切です。自分の将来のためにも、お金の管理や貯金を考えながら、これからの準備をしていく期間にしましょう。

この記事の執筆協力

執筆者名

マネコミ編集部

執筆者プロフィール

募集文書管理番号

関連コラム

  • 全般

    就業不能保険は持病があっても入れる?加入時のポイントや注意点を解説

    生命保険に加入する時には、現在の健康状態や過去の病歴について申告が必要です。

    持病がある人は、健康な人と比べて保険加入のハードルが高くなる傾向があり、就業不能保険への加入を諦めてしまうこともあるでしょう。また、保険会社によっては持病があっても加入できる就業不能保険もありますが、いくつか注意点もあります。

    この記事では、ファイナンシャルプランナーのタケイ啓子さん監修のもと、持病があっても入れる就業不能保険があるかや加入時の注意点を解説。また、持病があっても加入できる保険や公的保障もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 全般

    就業不能保険のデメリットとは?選び方や入ったほうがいい人の特徴も解説

    就業不能保険とは、ケガや病気で長期間働けない時の生活を、金銭面で支えてくれる保険です。仕事に就くことができない状態が続く間、毎月給付金を受け取ることができるというメリットがある一方で、どのようなデメリットが考えられるのでしょうか。

    この記事では、ファイナンシャルプランナーのタケイ啓子さん監修のもと、就業不能保険のデメリットを解説。選ぶポイントや加入したほうがいい人の特徴を詳しくご紹介します。就業不能保険への加入を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。