- コラムタイトル
-
手取り月収30万円の額面や年収は?適切な家賃や貯金額の目安についても解説
- リード
-
一口に「毎月の収入」といっても、会社から支給される「額面」の金額と実際に振り込まれる「手取り」の金額は異なります。たとえば「手取り月収30万円」の場合、額面はいくらになるのでしょうか。
この記事では、ファイナンシャルプランナー・藤井亜也さん監修のもと、手取り額から額面を算出する方法を解説します。併せて、手取り月収30万円の場合の適切な家賃や貯金額についてもご紹介します。
- コラムサマリ
●手取り月収30万円の額面は35万~40万円程度
額面とは会社から支給される報酬の総額
手取り額とは額面から税金や社会保険料を差し引いた金額
額面の目安は「手取り額÷0.75~0.85」
●手取り月収30万円の年収は420万~548万円程度
手取り月収30万円にボーナスが支給されない場合の年収
手取り月収30万円にボーナスが支給される場合の年収
●額面月収30万円の手取り額は23万~26万円程度
●手取り月収30万円の家賃と貯金の目安は?
家賃は手取り月収の20~25%に収めるのが理想
食費は手取り月収の15%程度に収めるのが理想
手取り月収30万円なら貯金は9万円以上を目標にしよう
●手取り額と額面の関係がわかればライフプランも立てやすくなる
- 本文
-
手取り月収30万円の額面は35万~40万円程度
「手取り額」から「額面」を計算する方法を理解するためには、これらの関係を知る必要があります。まずは手取り額と額面について簡単に解説します。
額面とは会社から支給される報酬の総額
額面とは、会社が支給する報酬の総額を指す言葉です。通常は、ベースとなる「基本給」 に「通勤手当(交通費)」や「時間外手当(残業手当)」といった各種の手当をプラスした金額になります。一般的な給与明細では、「総支給金額」欄に記載されている金額が額面に相当します。
手取り額とは額面から税金や社会保険料を差し引いた金額
手取り額とは、額面から所得税や住民税といった税金、そして健康保険や厚生年金といった社会保険料などが天引きされた金額のことです。一般的な給与明細では「差引支給額」 欄に記載されている金額が手取り額に相当します。ちなみに、額面から税金や社会保険料を差し引かれることなどを「控除」と呼びます。
額面の目安は「手取り額÷0.75~0.85」
手取り額と額面の関係を簡単にまとめると、以下の計算式で表現することができます。
額面(基本給+諸手当)=手取り額+控除(税金+社会保険料) 言い換えると、額面を算出するためには、控除の金額がわかればいいわけです。
しかし、控除に含まれる税金(所得税や住民税)や社会保険料(健康保険や厚生年金保険) の計算方法は複雑で、さらに扶養家族の有無といった条件によっても計算結果が異なります。
そこで、覚えておくと便利なのが、手取り額から額面をおおまかに導き出す計算式です。 控除の金額には個人差がありますが、一般的な会社勤めの場合、「額面のおよそ75~85%」 が手取り額になるとされています。ですから、手取り額からおおよその額面を出すためには、以下の計算式を使えばいいことになります。
おおよその額面=手取り額÷0.75~0.85 この計算式に「手取り月収30万円」を当てはめると、
30万円÷0.75=4万円
30万円÷0.85≒35万3,000円
となります。つまり手取り月収30万円の場合、額面は約35万円から40万円の間と考えることができます。
手取り月収30万円の年収は420万~548万円程度
では、手取り月収30万円の年収の目安はいくらになるのでしょうか。「年収」といった場合、手取り額ではなく額面を指すことが一般的です。つまり毎月の額面の12カ月分に、ボ ーナス(賞与)の額面を加えた金額が年収となります。
ただし、会社によってはボーナスが支給されない場合もありますし、雇用形態や会社の業績によってもボーナスの金額は変わります。ここでは正社員の場合を例に、ボーナスの有無による2パターンのシミュレーションをしてみましょう。
手取り月収30万円にボーナスが支給されない場合の年収
まずはボーナスが支給されないケースで、手取り月収30万円の年収を計算してみましょう。 先ほどの計算によれば、手取り月収30万円の場合、額面は約35万円から40万円でした。つまり、この金額に12(カ月)を掛けたものが、年収の金額になります。
35万円×12=420万円
40万円×12=480万円
ですから、手取り月収30万円でボーナスが支給されない場合の年収は、約420万~480万円の間と考えることができます。
手取り月収30万円にボーナスが支給される場合の年収
先述したように、ボーナスの金額は雇用形態や会社の業績などの条件で大きく変わります。 そこで目安となるのが、国税庁が公表している「民間給与実態統計調査」です1)。令和2 年分の調査によれば、年収が400万円代(500万円以下)の平均ボーナス額(額面)は67万6,000円となっています。
この金額を加算すると、手取り月収30万円でボーナスが支給される場合の年収は、約488万~548万円の間と考えることができます。
なお、ボーナスも毎月の給与と同様に、実際に振り込まれるのは税金や社会保険料が差し引かれた手取り額になります。
参考資料
1)国税庁「民間給与実態統計調査」
額面月収30万円の手取り額は23万~26万円程度
では、「額面月収が30万円」の場合、実際に振り込まれる手取り額はいくらになるのでしょうか。
この場合は以下の計算式で、額面から手取り額を導き出すことができます。
手取り額=額面(基本給+諸手当)-控除(税金+社会保険料) つまり額面を導き出す計算と同様、手取り額を知るためには、控除の金額がわかればいいわけです。
ただし、控除の計算方法は複雑ですから、額面から手取り額をおおまかに導き出す計算式を覚えておきましょう。控除の金額には個人差がありますが、一般的な会社勤めの人の場合、「額面のおよそ75%~85%」が手取り額になるとされています。
ですから、額面からおおよその手取り額を出すためには、以下の計算式を使えばいいことになります。
おおよその手取り額=額面×0.75~0.85 この計算式に「額面月収30万円」を当てはめると、
30万円×0.75=22万5,000円
30万円×0.85=25万5,000円
となります。つまり額面月収30万円の場合、手取り額は約23万円から26万円の間と考えることができます。
手取り月収30万円の家賃と貯金の目安は?
手取り月収が30万円の場合、一人暮らしなら生活に余裕が出るはずです。そこで心掛けてほしいのが、将来に備えた貯金です。手取り月収30万円の場合の理想的な家賃と食費の目安と、貯金にまわしたいお金の目安についてご紹介しましょう。
家賃は手取り月収の20~25%に収めるのが理想
まずは、家計のなかでも特に比率が高い家賃からです。一般的に家賃は手取り月収の20~25%に収まる金額が理想といわれています。単純計算すると、手取り月収30万円の場合には6万~7万5,000円が家賃の目安となります。セキュリティーや部屋数にこだわりたいなどの希望があれば、少し上乗せして手取り月収の30%、つまり9万円を家賃の目安にしてもいいでしょう。
食費は手取り月収の15%程度に収めるのが理想
続いて、暮らしに欠かせない食費です。一般的に食費の目安は手取り月収の15%程度といわれています。手取り月収30万円の場合は4万5,000円が食費の目安というわけです。ライフスタイルにもよりますが、一人暮らしならこの金額でまかなうことができるでしょう。
手取り月収30万円なら貯金は9万円以上を目標にしよう
毎月の貯金額は、手取り額の30%が理想とされています。手取り月収30万円の場合は9万円が理想的な貯金額の目安というわけです。
ライフスタイルは人それぞれなので、家賃や食費の割合も変わるとは思いますが、仮に一人暮らしで手取り月収30万円であれば、貯金は理想的な目安である30%を目標にしても難しくはないと思われます。
今後のライフプランに応じた備えや貯金は必要です。一方、すでに結婚していたり、子どもがいたりする場合は学費や夫婦の老後資金なども考えていかなくてはいけません。上記の金額を目安に、無理のない貯金額を設定しましょう。
手取り額と額面の関係がわかればライフプランも立てやすくなる
手取り月収が30万円であれば、結婚や住宅購入、老後に備えるといったライフプランも立てやすくなるでしょう。今回ご紹介した手取りと額面の関係を理解しておけば、転職などキャリアアップを考える際にも役立ちます。よりよい将来設計のためにも、しっかりと学んでおきましょう。
この記事の執筆協力
- 執筆者名
-
マネコミ編集部
- 執筆者プロフィール
- 募集文書管理番号